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自社の商品の改善や新商品開発のために、企業のマーケティング担当者がソーシャルリスニングツールを利用することは、最近では珍しいことではなくなっている。月額数万円で、自社や競合の商品に対する、顧客の感想や評価を定量的かつ定性的に調査することができるのは、企業のマーケティング担当者からすれば非常にありがたいことだ。

しかしその一方で、ソーシャルリスニングツールを導入してみたものの、

  • 使いこなすことができない
  • 専任で調査するリソースが確保できない
  • 期待していた結果が得られない

などの理由から、途中で利用をやめてしまったという話もよく耳にする。特に多いのが、③の「期待していた結果が得られない」だ。せっかく目的があって導入しても、期待していた結果が得られないのであれば導入した意味がない。しかし、この③のケースの場合、よくよく話を聞いてみると、そもそも使い方が間違っていることが意外に多い。

SNS投稿データの調査を、企業の代わりに行っている立場にある者として言わせてもらえば、そもそもソーシャルリスニングツールに備わっている標準機能だけで、満足な結果を得ることは不可能だ。商品が話題になったり売れ始めたりしたトレンドや、話題になっているキーワードを調査するには十分なのだが、商品の改善や新商品開発のヒントになるような情報を得ることが目的なのであれば、ソーシャルリスニングツールだけでその目的を達成することは難しい。

では、どうしたら商品の改善や新商品開発のヒントになるような、本当に役に立つ情報を得ることができるのか。それは、目視でdig it (掘り下げる)することだ。使用するデータは、ソーシャルリスニングツールで抽出できるデータで十分。できれば、サンプリングではなく、全てのデータが対象であることが望ましい。このソーシャルリスニングツールで抽出したデータを、ツールに備わっているテキストマインング機能だけで確認するのではなく、人間が目視で確認する作業が必要になってくる。

目視で確認することのメリットは、抽出したいキーワードと同じ意味のキーワードを全て正確に抽出できることだ。缶コーヒーブランドの事例をケーススタディに見立てて説明したい。

■ケーススタディ:ABC社の「さくら缶コーヒー」

業種:飲料メーカー
商品:缶コーヒー
期間:直近3ヶ月間
対象:ツイッター、インスタグラム
要件:
・自社ブランド「さくら缶コーヒー」の購入者を抽出。
・購入者を性別、年代、職業別に分類。
・リピーターだけを抽出。

「さくら缶コーヒー」を購入した顧客を抽出する場合、ソーシャルリスニングツールのテキストマイニング機能を使って、「購入」「買った」などのキーワードに該当する投稿データを、テキストマイニング機能を使って抽出するのが一般的だ。しかし、ここで問題なのが、「購入」したことを表現するキーワードが、「購入」や「買った」だけではないということ。

たとえば、こんな内容の投稿。ツイッターではよく見かけるタイプの投稿だ。

ツイッターでありがちな投稿例。

テキストの本文のどこにも、「購入」や「買った」ということがわかる表現を使っていないにもかかわらず、目視でちゃんと確認すると、「購入」したことがわかるタイプの投稿がたくさんある。このタイプの投稿は、商品によって多少の誤差はあるものの、実際に調査をしてみると想像以上に多いことがわかる。そして、ソーシャルリスニングツールのテキストマイニング機能で抽出するのが、難しいタイプの投稿だ。目視による掘り下げ調査は、ソーシャルリスニングツールのテキストマイニング機能だけでは抽出することが不可能な投稿を、確実に抽出できるというメリットがある。

掘り下げ調査のもう一つの活用方法として、該当するユーザーの全投稿を確認するという活用方法がある。今回のケーススタディでは、リピーターを抽出する場合に掘り下げ調査がその威力を発揮する。たとえば、ABC社の「さくら缶コーヒー」のリピーターかどうかを判断するのは、ソーシャルリスニングツールのテキストマイニング機能だけではどう考えてみても無理だ。

リピーターかどうかを判断するためには、目視による掘り下げ調査で、購入したことがわかっているユーザーの、過去の投稿をすべて確認する作業が必要になる。この、全投稿の確認作業を行うことで、過去にも購入したことがあるかどうかがはじめてわかる。

目視による掘り下げ調査でユーザーの全投稿を確認する作業は、リピーターなどの特別なユーザーを見つける以外にも活用できる。たとえば、ユーザーの詳細なプロフィール情報(年代、仕事内容、家族構成、交友関係など)を知りたい時など、目視による掘り下げ調査で、かなり詳細な情報を知ることができる。このプロフィール情報の調査は、どちらかと言うとツイッターよりもインスタグラムの投稿を調査する時に効果を発揮する。

理由は、インスタグラムの方が、ツイッターよりも入力できるテキストの文字数が多いからだ。インスタグラムと聞くと、ビジュアルな写真とハッシュタグばかりを思い浮かべるかもしれないが、実はインスタグラムのテキストは、貴重な情報で溢れかえっている。それが理由で、顧客の詳細なプロフィール調査の依頼があった時は、ツイッターではなくインスタグラムを対象とすることを提案している。

もし、ソーシャルリスニングツールだけに頼った調査方法に限界を感じているのであれば、気軽に相談してほしい。目視による掘り下げ調査を行うことで、本当に知りたいことが見えてくるかもしれない。

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